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適正なコストで省力・省エネ化を実現する浄水場スラッジ濃縮槽の機能強化

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日本の水インフラの多くは高度経済成長期までに集中的に整備され、現在、それらの施設が一斉に更新時期を迎えています。

水道事業においても浄水施設と管路の老朽化に加え、ヒト・カネの不足、さらにはエネルギーの安定供給に関する問題も顕在化している中、給水需要や気候等の取り巻く環境も大きく変化をしています。そのため施設・設備の更新においては、コストが過大とならず維持管理の省力化や使用エネルギー削減による脱炭素化を可能とし、持続可能な事業を実現する技術導入が望まれています。

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目次

  1. 浄水場における排泥設備の現状と課題
  2. 回転羽根と遠隔監視装置の導入によるスラッジ濃縮槽機能強化
  3. 省コストで適切な設備更新を実現する技術で、持続可能な水道事業を支援

1. 浄水場における排泥設備の現状と課題


サンプル

水道事業においては施設の老朽化や経営環境の悪化、人材減少・高齢化を主とした現状と課題を背景に、平成30年に水道法の一部を改正する法律が施行され、施設の計画的な更新を含む基本方針が示されています。

老朽化が進む浄水場では、浄水工程で発生する泥(スラッジ)を処理・排出する排泥設備も耐用年数の経過が進んでいます。
しかし浄水場の排泥設備は下水処理施設でみられる著しい腐食劣化は起こりにくく、必要十分な機能を満たし稼働していれば運用上の問題が発生しにくい設備です。そのため、設備を取り巻く課題が埋もれたまま、成り行きで設備更新が検討されるケースが少なくありません。

こうした浄水場設備における技術ニーズの偏りにより排泥設備、とりわけスラッジの濃縮を行う「スラッジ濃縮槽」においては技術導入の事例が少なく、その多くが建設当時と変わらない設備で運用されている現状があることから、過大なコストがかからず課題解決につながる技術の導入が望まれています。


排泥設備におけるスラッジ濃縮槽の課題
  • 濃縮槽投入時のスラッジ流出リスク
  • 維持管理にかかる労力
  • エネルギー消費・CO2排出による環境負荷

2. 回転羽根と遠隔監視装置の導入によるスラッジ濃縮槽機能強化

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従来の「スラッジ濃縮槽」の機能強化を実現する技術が「ロータリーフィン®スラッジ掻寄機(RFC)」です。

「RFC」は回転羽根付の中央駆動型汚泥掻寄機で、従来の汚泥掻寄機に軽量かつ物理的応力の高い樹脂製の回転羽根をセンターウェル周囲に円筒状に配した構造をしています。導入にあたっての大規模な施設改築は不要で、従来の汚泥掻寄機と同等の設置動力で維持管理性、濃縮性能の向上、改善を行うことができます。

さらに「RFC」を設置したスラッジ濃縮槽に、遠隔監視装置「N-Share」と汚泥界面計を導入することよりで、維持管理の省力化とハンドリングの向上を行うことが可能です。


機能強化による改善ポイント
  • 投入時の巻き上がりによるスラッジ流出リスクの低減
  • 冬季低温時におけるスラッジ沈降性の改善
  • スラッジ界面の維持管理にかかる作業量の低減
  • スラッジ高濃度化による排泥工程に係るエネルギー、処理コストの低減

提案事例

対象施設

  • 人口約15万人を超える市の浄水場

課題

  • 濃縮槽スラッジ界面状況確認のための手動による実地測定に係る管理労力の削減
  • 冬季の水温低下によるスラッジ沈降性の改善
  • 濃縮スラッジの機械脱水にかかるエネルギーの削減

提案内容:濃縮槽への「ロータリーフィン®スラッジ掻寄機(RFC)」と遠隔監視システム「N-Share」導入

①遠隔監視システム「N-Share」に連携させた汚泥界面計をスラッジ濃縮槽に設置し、リアルタイムのスラッジ界面や濃度を見える化

POINT

デバイスに縛られることなくリアルタイムの設備情報を見える化

ネットワーク配線工事不要のN-Share専用モジュールを対象設備に組み込むことで、設備がワイヤレスでクラウドサービスに接続され、インターネットブラウザ上から情報の確認が可能となります。管理に専用ソフトが不要なため場所やデバイスによる制約を少なく、維持管理の省力化にも貢献します。
管理画面のフロー図は導入施設毎の動的なグラフィックを設定できるので、分かりやすく視覚的な管理が可能です。


②RFCの機能とスラッジ界面の見える化を活用した濃縮槽の高界面運転により、スラッジ高濃度化を促進する運用を実施
POINT

スラッジ高界面運転とスラッジ高濃度化の関係

①RFCは回転羽根内側に流入スラッジを保持します。
②緩やかに回転する回転羽根とスラッジの速度差により、スラッジのフロック化を促進します。
③分離液はスリット状の隙間から回転羽根外側へと緩やかに流出。スラッジは回転羽根の内側に保持します。
④フロック化の促進により回転羽根内側の界面が上昇し圧密高さが増加するため、濃縮されるスラッジは高濃度化します。

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導入効果

    • 濃縮槽のスラッジ界面と引抜スラッジ濃度がリアルタイムで確認できるようになったことでハンドリングが向上し、スラッジ高界面運転のような細かなコントロールを要する運転を容易化
    • 沈降性が低下しやすい冬季においても、安定した高界面運転を実現し、濃縮スラッジの高濃度化を達成
    • 濃縮槽から脱水機への投入スラッジ濃度が高いほど脱水ケーキ含水率は低下するため、1バッチあたりの運転時間の短縮など、省電力化を促進する運転設定の検討を可能とした


3. 排泥設備の課題解決に貢献する機能強化技術により、持続可能な水道事業実現を支援

「ロータリーフィン®スラッジ掻寄機」はその特徴的な構造により、スラッジの流出を抑制し、濃縮性を向上する先進的なスラッジ掻寄機です。さらに遠隔監視装置「N-Share」を組合わせることでIoTによる省力的かつ状況に応じた柔軟な維持管理が可能となります。

過大なコストをかけずスラッジ処理の省力、省エネ化を可能とする「ロータリーフィン®スラッジ掻寄機」と遠隔監視システム「N-Share」により、お客様の持続可能な水道事業の実現をご支援します。

より良くより持続可能な未来の実現に向けて

より良くより持続可能な未来を実現するために、西原環境はこれからも課題解決に資する技術やサービスをご提供していきます。

サンプル

4. ご紹介した技術

ロータリーフィン®スラッジ掻寄機(RFC)


サンプル

重力濃縮槽の汚泥掻寄機に取り付けた回転羽根の効果で、固液分離の促進と濃縮性能を向上。後段の汚泥処理の効率化や返流水負荷を軽減します。

浄水処理施設の他、下水処理施設や農業集落排水処理施設など幅広い分野の汚泥濃縮槽へ適用可能です。

遠隔監視システム N-Share


サンプル

N-Shareは施設や設備、機器の詳細な状態を遠隔地のパソコンやタブレットから監視することで、効率的な運転管理を支援するシステムです。

N-Shareにより接続された機器は作動状況やセンサーの値などの情報をいつでも、どこでも監視することができ、測定データは自動でグラフ化されるため、リアルタイムでトレンドの確認が簡単に行えます。

データ収集を行うモジュールはワイヤレスでクラウドサービスに接続され、クラウド上に収集されたデータはPC/タブレット等のインターネットブラウザ上で確認ができるため、導入に伴うネットワーク配線工事や専用ソフトが必要なく、導入にかかる手間やコストを抑えることが可能です。
通信はSSLによる暗号化を行うなど、安心な高セキュア環境を確保しています。

複数の施設の複数機器から収集されたデータは1つの管理画面で確認することもでき、警報を携帯電話/スマートフォン等のモバイル端末への電子メールで通知可能ですので、管理体制に応じた柔軟な運用体制が構築できます。

 

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