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老朽化した下水処理施設の再構築

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全国の多くの水処理施設では、機器や躯体の老朽化が進み、全面更新が必要な時期を迎えています。さらに自治体によっては、都市部での人口増加や、広域化・共同化による一次的な流入水量の増加に対処する必要が生まれています。

用地の制約、人口減少、財政難などの事情を抱える中でも、老朽化対策や処理能力増強など必要な措置を進め、下水道サービスの持続可能性を確保することが求められています。

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1. 老朽化した水処理施設の全面更新が課題に

国土交通省によると、全国の下水処理場数は約2,200ヶ所のうち、機械・電気設備の標準耐用年数である15年を経過した処理場は8割を超えており、下水道施設の老朽化対策が急務となっています。一方で、今後少子高齢化・人口減少がさらに進むことで、水道の有収水量の減少に伴う下水道の使用料収入が減少も見込まれています。

大都市が抱える課題

  • 施設の老朽化:古くに建設された施設や設備が全面更新時期を超過している
  • 用地の制約:市街地に囲まれ、躯体増設や仮設設備のための用地がない
  • 処理能力の増強:人口が多い住宅地や繁華街からの排水が大きなピーク流量を作る

地方都市が抱える課題

  • 施設の老朽化:古くに建設された施設や設備が全面更新時期を超過している
  • 人口減少:少子高齢化の進行が見込まれるため、新たな躯体への設備投資は避けたい
  • 財政的制約:税収減や少子高齢化のため、使える財源が限られている
  • 広域化・共同化:し尿の下水道投入や施設の統廃合に伴い、集約先の処理水量が増加する
  • 職員の減少:複雑、煩雑な運転管理は負担が大きい

大都市・地方都市ともに、下水道事業を取り巻くヒト・モノ・カネの厳しい状況が、今後ますます加速することが予想されています。施設更新のコストを抑え、既存躯体を活用しながら処理能力を増強することが共通の課題となっています。

2. 既存躯体を活用した施設更新で省コストに処理能力増強

リンポー

既存躯体を活用した省コストな水処理施設更新に役立つのが、担体投入活性汚泥法「リンポープロセス」です。

担体投入活性汚泥法「リンポープロセス」は、スポンジ状の担体を反応槽へ投入し、担体に反応槽内生物を保持させて総生物量を増やすことで、水量の増加に対応する技術です。

担体法でありながら必要な付帯設備は少なく、維持管理の手間が少ないシンプルな設備構成です。担体に高密度に生物を保持させ、相対的に浮遊MLSSを下げることで、最終沈殿池への負荷を軽減しながら水量増加対応を行うことができます。

大都市向けの提案

大都市向けの提案

対象施設

  • 人口約400万人を抱える都市にある下水処理場

背景

  • 水処理2系列のうち1系列(第1系列)が供用開始から約60年経過し、躯体も含めた再構築の時期を迎えている
  • もう1系列(第2系列)は供用開始から約35年で、躯体は継続利用できる状態である
  • 第1系列の処理水量を他の施設に移送する案は、コスト面に課題があり実現が難しい
  • コストをかけずに第1系列の大規模更新に対応するため、既存の躯体が利用できる第2系列の処理能力を増強し、第1系列の処理水量を受け入れられるようにしたい

課題

  • 汚水処理区域に市の中心部があり、処理水量に余裕がない
  • 人口増加に伴い処理水量の増加が見込まれる
  • 繁華街から高負荷の汚水が流入する
  • 市街地に囲まれ用地が狭く、新たな系列を増設するスペースがない

提案内容:第2系列を段階的にリンポープロセスへと更新し、既存の土木躯体を使って処理水量増加に対応する

  • Step 1 : 第2系列の改築工事は1池ずつ行い、休止池の汚水は第1系列と第2系列に分散して処理する
  • Step 2 : 第2系列の改築工事がすべて完了したら、第1系列の汚水を受け入れる

利点

  • 既存の土木躯体を使って処理水量の増加に対応できる
  • 流入水量に応じて、2タイプの処理プロセスを切り替えできるシステムを構築
  • 担体法であるが運転管理には大きな変更がなく、標準活性汚泥法同様に管理できる
  • 数年かけて段階的に更新整備することで、高額な仮設設備の利用は不要

地方都市向けの提案

対象施設

  • 人口約10万人を抱える北海道にある下水処理場

課題

  • 水処理2系列のうち、旧系列の水処理施設が著しく老朽化している
  • 既存の新系水処理施設のみでは旧系列分を含めた全量処理には足りない
  • 今後数年間は流入水量が増加する見込みも、将来的には人口減少が予想

提案内容:数年かけて段階的に新系施設全体をリンポーCへと更新

  • Step 1 : 新系施設の未使用の系列にリンポープロセスを導入
  • Step 2 : 工事完了した系列の運転を開始し、次の更新対象系列の汚水を受入
  • Step 3 : 更新対象系列の運転を休止し、更新工事を実施
  • Step 4 : Step 2〜3を繰り返し、5年かけて新系施設の6池(全体8池)をリンポーCへと更新

利点

  • 既存の新系施設の処理水量を1.5倍に増強した。
  • 更新後の新系施設は旧系列を含めた全量処理に対応可能となり、老朽化した旧系施設の改築更新は不要になった。
  • リンポープロセスの導入により、活性汚泥のSVIが改善し、冬期における水処理運転が安定した。
  • 数年かけて段階的に更新整備したことで、高額な仮設設備の利用は不要になった。

地方都市向けの提案

地方都市向けの提案

対象施設

  • 人口約10万人を抱える北海道にある下水処理場

課題

  • 水処理2系列のうち、旧系列の水処理施設が著しく老朽化している
  • 既存の新系水処理施設のみでは旧系列分を含めた全量処理には足りない
  • 今後数年間は流入水量が増加する見込みも、将来的には人口減少が予想

提案内容:数年かけて段階的に新系施設全体をリンポーCへと更新

  • Step 1 : 新系施設の未使用の系列にリンポープロセスを導入
  • Step 2 : 工事完了した系列の運転を開始し、次の更新対象系列の汚水を受入
  • Step 3 : 更新対象系列の運転を休止し、更新工事を実施
  • Step 4 : Step 2〜3を繰り返し、5年かけて新系施設の6池(全体8池)をリンポーCへと更新

利点

  • 既存の新系施設の処理水量を1.5倍に増強した。
  • 更新後の新系施設は旧系列を含めた全量処理に対応可能となり、老朽化した旧系施設の改築更新は不要になった。
  • リンポープロセスの導入により、活性汚泥のSVIが改善し、冬期における水処理運転が安定した。
  • 数年かけて段階的に更新整備したことで、高額な仮設設備の利用は不要になった。

3. 処理計画の見直しにも対応できる持続可能な水処理施設へ

担体投入活性汚泥法「リンポープロセス」の特長は、既存躯体を活用した処理能力増強だけではなく、将来の処理水量の減少にも対応できることにもあります。反応槽に投入した担体を除去すれば標準法として利用できるので、将来、人口減少等により処理水量が減少しても、大規模な改修なく処理水量に応じた施設にすることが可能です。

処理計画に応じた柔軟な運用を可能とする「リンポープロセス」により、持続可能な下水道サービスの構築をご支援します。

より良くより持続可能な未来の実現に向けて

より良くより持続可能な未来を実現するために、西原環境はこれからも課題解決に資する技術やサービスをご提供していきます。

サンプル

4. ご紹介した技術

リンポーC (処理水量増加対応)

サンプル

担体投入活性汚泥法「リンポープロセス」は、スポンジ状の担体を反応槽へ投入し、担体に反応槽内生物を保持させて総生物量を増やすことで、水量の増加に対応する技術です。

リンポーキューブが活性汚泥を高濃度に保持し、反応タンク内の総MLSS濃度を高く保てるため、
最終沈殿池の固形物負荷を上げずに処理水量アップが可能です。

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